パーキンソン病について
パーキンソン病の診断・治療について
パーキンソン病は、脳のドパミン神経細胞が減少することで、手足のふるえ(振戦)、動作の遅さ(無動)、筋肉のこわばり(筋固縮)などの運動障害が起こる進行性の神経疾患です。
主な治療法には、薬物療法、リハビリテーション、外科的治療などがあり、症状に応じてこれらの治療を組み合わせることが重要です。
主な症状
- 振戦:安静時に手足が震える症状です。
- 無動:動作がゆっくりになり、動作の開始に時間がかかります。歩行が遅く、前かがみの姿勢になり、転びやすくなります。
- 筋固縮:筋肉が硬くこわばります。
- 姿勢反射障害:バランスを崩しやすくなり、転倒しやすくなります。
- その他:書く文字が小さくなる、便秘、嚥下困難、顔の表情が乏しくなる(仮面様顔貌)などがあります。
パーキンソン病の症状の重症度分類としてはヤールの重症度分類が用いられます。
| 重症度 | 主な症状および必要な介助状況 |
|---|---|
| Stage I | 片側の手足だけに振戦や筋強剛を示す。日常生活にほとんど介助を要さない。 |
| Stage Ⅱ | 両側に症状がみられ、姿勢の変化がかなり明確となる。日常生活がやや不便である。 |
| Stage Ⅲ | 明らかな歩行障害がみられ、方向転換の不安定など立ち直り反射障害がある。 日常生活の動作にもかなり障害がみられ、一部介助が必要となる。 |
| Stage Ⅳ | 起立や歩行など日常生活の動作が非常に困難となり、介助が必要となる。 |
| Stage Ⅴ | 自力での日常生活動作は難しく、介助による車椅子での移動またはベッド上の生活が中心となる。 日常生活では全面的な介助を必要とする。 |
原因
- 脳の黒質にあるドパミンを産生する神経細胞が減少し、神経伝達物質のドパミンが不足することが主な原因です。
治療
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薬物療法:治療の主体となる薬物療法には、ドパミンを補充する薬など様々な種類があります。
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リハビリテーション:薬物療法と並行して、歩行や姿勢の改善を目指すリハビリテーションが重要です。
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外科的治療:薬物療法だけでは限界がある場合、脳深部刺激術などの外科的治療が検討されることもあります。
日常生活で気をつけること
- 規則正しい生活を送り、医師の指示通りに薬を服用することが重要です。
- 無理のない範囲で散歩やストレッチを行い、転倒しないよう環境を整えることが大切です。
受診の目安
- 手足のふるえ、動作の遅さ、体のこわばりなどの症状が続く場合は、早めに脳神経内科を受診してください。
- 非運動症状(便秘、睡眠障害、嗅覚障害など)が先行することもあるため、これらの症状が長く続く場合も受診をおすすめします。

